vol.1 堀田力さん
  vol.2 吉行和子さん
松井:田中絹代賞を受賞されて一つの区切りになると思うのですが、女優さんのお仕事としては次を待つという状態?

吉行:そうですね。賞を頂いたからといって、それはそれですからね。「折り梅」に出会い、そして田中絹代賞が舞い込んできたということは、また新たな情熱を燃やすためのとても大きなプレゼントだったと思いますが、だからといってそれが次に繋がるわけじゃないんですよね。女優の仕事とはそういうものなんです。だからほんとに、なんか神に祈るような気持ちで、何かまたおもしろい仕事がこないかな、と思ってますね。

松井:お母様の吉行あぐりさんは、田中絹代賞を頂いたと知ったときに、なんて仰いました?

吉行:あらそうなの、みたいな感じで(笑)。何も言いませんでしたね。

松井:でもすごく喜んでらっしゃるでしょうね。だって吉行さんの一番のファンでらっしゃいますもの。

吉行:私は若い頃からいつも病気ばっかりしてたものですから、母はいまだに、「元気になって仕事が続けられるっていうことは驚きね」と繰り返し言ってますね。でも、その仕事が賞というかたちで評価されたということは、良かったことです。

松井:お母様へのプレゼントにもなりましたね。相変わらずお元気そうで。次はお二人で、何処にいらっしゃるんですか?

吉行:今度はね、台湾に行こうかなって。遠いところ行きたいんですけれど、私もなかなか長い時間取れないから、とりあえず近場で。

   

松井:吉行さんにとってもお母様にとっても、今が一番幸せな時なのではないかしら。

吉行:きっとそうだと思います。

松井:何よりも健康であるということが一番ですよね。世の中の多くのお年寄りたちは「若い者に迷惑かけないように」って、周りに気兼ねして暮らしてらっしゃるじゃないですか。もっと大きな顔して、胸張って生きていいのよ、と思うのに。お嫁さんにも気をつかわなくてはいけないし。そういう意味では実の娘である吉行さんがお母様のためだけに時間を使って、気兼ねなく旅をしたり。あぐりさん、すごく幸せな老後を送ってらっしゃるなと思いますね。

吉行:それは、「折り梅」も随分役に立ってるんですよ。例えば母が何かやろうとしても、私がやっちゃったほうが早いからやってしまおうと思うこともありますし、また、何か言い出したときに言いたいことがわかっちゃってると「ああ、それはわかった」って言いたいけど、ちょっと我慢してみたり。母が傷つかないでいられるようにしようと思って

松井:「折り梅」をやったことによって、娘として優しくなれたわけですね。

吉行:「折り梅」の役作りのときにいろいろな施設に行って施設の方のお話を聞いて、随分いろいろなことを学びました。まあ、母は痴呆症ではありませんけれど、やっぱり年取ってますから、共通の部分が随分あります。だから「折り梅」をやってよかったなと思って。

 
   

松井:ありがたいですね。 ところで、ご自分が出演した映画と一緒に、こんなに長い間各地を回られる経験も、初めてではないですか?映画を撮り終わった後に、こんなことが待っているとは思ってらっしゃらなかったでしょ?

吉行:そうですね。映画は撮ってしまえばフィルムが勝手に各地へ行って、演じた者は違う場所にいるというのが今まででしたから、観客の方と同じ時間を一緒に過ごしながらフィルムと共にいられるっていうのは初めての経験です。「折り梅」がまだいろいろなところで上映されるから、チャンスがあれば私もご一緒して、見てみたいですね。見て下さった方達の感想も聞きたいし。お客様の感想を直に聞けるというのは、本当に素晴らしい体験ですね。

松井:どこに行っても感じるのですが、お客様って意地悪じゃないです(笑)。なんか温かいと言うか、ちゃんと解って頂ける、一番通じる方々だなって感じます。 これからもお時間が許す限り、『折り梅』の旅におつき合い頂けますか?私も、ときどき吉行さんと一緒に旅ができるのが、本当に楽しみなんです。

吉行:私もよ。ぜひまた行きましょう。いつもの珍道中で。(笑)

 

まるで古くからの友人同士のようにリラックスしてお話されたお二人。
1時間以上にもわたって映画への思いや吉行さんのプライベートに迫るお話まで!(笑)、まだまだおしゃべりが続きそうな勢いで、楽しい時間があっという間に過ぎました。
もしかしたらどこかの上映会でひょっこりお二人が顔をあわせて、この続きを聞くことができるかもしれませんね。
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