渦巻く混迷の中で平和への切なる希望のうちに幕を開けた私たちの21世紀です。この世紀を私たちはどんな時代にしようとしているのでしょうか。文明の世紀として多くのことを教え課題を残した20世紀から、将来へ向けて私たちは文明中心の尺度からより人間的なものへの回帰を目指そうとしているかのように見えます。

 「物」の時代から「心」の時への移り変わり、集合の時代から分散と個性追求の時を求めて変化する中で、時間や空間を超えて、そして民族の違いや世代の差を包み込んで私達の心に訴えるもの、それは私たち社会の「文化・芸術」ではないでしょうか。このような環境の中であればこそ、私は私たちが先の時代から受け継ぎ次の世に残してゆくべき社会の資産として文化をしっかりと捉えたいと考えています。

 映画「折り梅」の監督、松井久子さんには、ニューヨーク在住のKumikoYoshiiにお引き合わせを頂きました。KumikoYoshiiは私がパリ市と共同で2000年にミュージカルDa Vinciを製作、カジノ座で上演した際にお力をお借りした方です。本当に偶然であるような、また必然的にそうなってしまったと言えなくもない、すてきなめぐり合わせでした。

 2000年12月に初めてお会いしたとき松井さんは心に響く良い映画を作りたい、資金面 で手伝って!という熱意を私に射込んで来て、それがドシンと私の胸に来ました。このストレートで純粋な一矢が、映画を見るのは大好きですが、映画製作の事を全く知らない私の好奇心に火をつけたのでした。

 この映画のテーマはありふれた人生を子らと共に生きてきて、老いて痴呆になっても、愛、自然そして、絵画の平穏さに恵まれて得られる「命の輝き」です。「折り梅」というタイトルは老いても美しい花を見せ古木に命あることを告げ愛される梅が、主人公が老いて過去を忘れても輝く時間を、古木となっても、折られてすら開く美しい梅の花に重ね合わせて決められていました。

 映画「折り梅」は途中の資金調達の荒波を乗り越えて8月に見事に完成、2002年梅の花が咲き乱れる春、公開されることになりました。完成試写 会では幾度も感動の涙が押し寄せて、周りの人に悟られはしまいか、と気を遣っておりました。

 また、2002年にはミュージカルDa Vinciの背景画を書いてくださったパリ在住のYoshinobu Toide画伯が日本の春に華やかに咲くSakuraを大作として仕上げることになっていて、この大作を画家Yoshinobu Toideと共にアメリカで展示するプランが進んでいます。私にとっての2002年は「折り梅」、Sakuraの映画と絵画の春で開ける事になりこの幸運をありがたく思っています。

 映画はエンターテインメントですから、映画「折り梅」を出来るだけたくさんの皆さんに見ていただいて、新しい感動を楽しんでいただきたい、と心から願っております。