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【モントリオール国際映画祭 フォト・レポート Vol.1

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2002/8/22-29
 

皆さん、お元気ですか?

掲示板に『折り梅』を観てくださった方々から、沢山の温かな書き込みを頂きながら、私からは長い間何のお返事も差し上げられずほんとうに申し訳ありませんでした。

3月半ばの公開の日から今日まで、全国各地のロードショーのキャンペーンや自主上映会と講演の旅が続いて、東京の自宅に戻れるのは月に数日という日々を、ずっと重ねておりました。

これも『折り梅』が日本中の人々に高い関心をもって迎えられている証拠。 改めて映画と私を応援してくださっている皆さんに、この場を借りて、心からの御礼を申し上げます。

さて、そんな東奔西走の日々の中、8月22日から29日までは『折り梅』がカナダのモントリオール国際映画祭に招かれて、折り梅応援団の事務局長・藤原淳子さんをお誘いしニューヨーク&モントリオールの旅に行ってきました。 今年はコンペ出品作の他に<Focus on Japanese Cinema>という日本映画を特集するプログラムがあって、『模倣犯』『Mr. Rookie』『GO』『女学生の友』 『火星のカノン』『百合祭』『「白い犬のワルツ」『ドッグスター』『ピカレスク』 『黒澤明からのメッセージ』など10本の映画と共に『折り梅』も招待作品として選ばれたわけです。

では、藤原さんが撮ってくださった写真ともに、私の、一喜一憂・本音満載<モントリオール報告>をお楽しみください。


22日から24日までは、もう6年も前、処女作『ユキエ』の仕上げ作業で3ヶ月を過ごしたニューヨークに立ち寄って、事件から1年経った世界貿易センタービル跡地・グランドゼロを訪ねたり、大好きなセントラルパークを散歩したりして、久しぶり忙中閑の時を過ごしました。

まずは『ユキエ』の時の思い出がいっぱい詰まったそのNYでの(ちょっとバカバカしいと叱られそうな)エピソードからーー。

実は私、見かけによらず、スポーツ観戦が大好きなのです。

サッカーからボクシングまで、世界のビッグなスポーツ・イベントの中継は 真夜中の放映もいとわずに殆どリアル・タイムで見ているほど。毎回繰り広げられる筋書きのないドラマがいつも極上の興奮を与えてくれて、私の何よりのストレス解消法になっているのですね。

そんなスポーツ・オタクの私を、NYで待っていてくれたのは、なんともうじき始まるUSオープンテニスの選手達と同じホテルに泊まるという幸運だったのです。

エレベーターや廊下ですれ違う人は皆私の知ってる世界的なテニスプレーヤーばかり。

あの人はトッド・マーチン。アメリカのベテラン選手よ。
あの女性はフランスの・・・

得意になって説明する私に、同行の藤原さんも感心するやら呆れるやら。NYに着くなり、旅は最高に楽しいものになる筈でした。
一体これから、誰と会えることになるの?と、高まる期待に胸躍らせて。

そして2日目の午後のこと。5番街の散歩から戻ってみると、フロント付近で10人程のテレビクルーが、撮影の準備に余念がない様子です。それを見た途端、私の頭に、ピンとひらめくものがありました。

もしかして、今からサンプラス
(ついこの間までの世界NO1プレーヤー。
私にとっての永遠のアイドル選手)
がチェックインするのでは・・・?

何度もパンの練習を繰り返すカメラマンの顔は真剣そのもの、照明マンの丹念な仕事ぶりもまさしく大物を待つ風情です。

間違いないわよ。サンプラスが来るんだわ!

持ち前の誇大妄想を発揮して突然ミーハーと化した私は、藤原さんを引っ張ってロビーのソファに座り込むと、胸をドキドキさせて、サンプラスの登場を待つことになったのでした。

そして憧れの人を待つこと1時間あまり、いよいよライトがオンになって撮影が始まってみると・・・?・?・?・・・カメラが追いかけ始めた被写体は、さっきからずっとスタッフの中に紛れ込んでいた、あまり可愛くもない女の子ではありませんか・・・。

???・・・あの子を使ってのリハーサルでしょ?ね、そうなのよね?

隣の藤原さんも半信半疑で目をこらしています。

ところが、撮影隊は、その娘がチェックインする様子を素早く5分ほどで撮り終えると、そそくさと荷物をまとめて引き上げて行ってしまったのです。

どうやらその撮影は、ホテルのプロモーション・ビデオか何かの1シーンに過ぎなかったようなのですね。

な〜んだ、ガッカリ・・・。

かくして私たちは(私だけか?)、はかない夢に終わった憧れのサンプラスとの邂逅を諦めて、足取り重く、NYを後にしたというわけなのでした。


では、本題に入ります。

少し肌寒い曇天続きだったNYとはうって変わって、デトロイト経由で到着したモントリオールは抜けるような青空です。気温は30度を越しているのに湿度が低いため暑さが不快でありません。

空港に出迎えてくれたバンに乗せられて約40分、宿舎の(映画祭の事務局もある)ホテル・ウインダムに到着すると、そこはもう町じゅうが映画祭一色といった感じです。

公用語はフランス語と聞いて言葉のことを一番心配していた私たちを迎えてくれたのは、若くて背の高い、なかなかハンサムなカナダ人男性。その彼が、いきなり流暢な日本語で、

エリック・フラピエといいます。
ボク、ついこの間まで、名古屋市役所に勤めてました

・・・?・!・?・!・・・

気が抜けるやら、嬉しいやら・・・。何せ名古屋と言えば『折り梅』の地元。藤原さんも名古屋の方ですから、私達は会うなりすっかりエリック君に親近感を覚え、早速彼にせがんで各国のポスターが張りめぐらされた事務局や記者会見場などを見てまわったのでした。

 

ところがその後、部屋に入ってエリック君から貰った映画祭のプログラムを勇んで繰ってみると、ゆうに300本は越える膨大な作品数の中で『折り梅』を紹介する欄は、タイトルとほんの数行のあらすじだけ。まったく、悲しくなるほど小さな扱いです。一緒に渡された分厚い公式プログラムの方はスチール写真も載って1ページ割かれてるけど、それを貰えるのは関係者だけだろうし。

 

これだけで『折り梅』を観に来てくれる人なんて、 いるわけないわ・・・

明日から4回もの上映が予定されている映画館。私は、その客席の閑散とした様を想像して、いきなり暗〜い気持ちになってしまったのです。


そしてその深夜、まだ夕食を食べてないことに気づいて出かけたホテルの隣のレストラン。その名前を見て、驚きました。

<バトン・ルージュ>
あ〜、懐かしい響き・・・。

あの『ユキエ』の舞台となった、アメリカはルイジアナ州にある町の名が、モントリオールに着いてはじめて入った店の名につけられていたなんて・・・。なんという偶然・・・!そしてその店のスパゲティの美味しさといったら・・・!

バトン・ルージュですっかりご機嫌を直した私は、懐かしいケイジャン料理でお腹をいっぱいにすると、モントリオール第一日目の夜、ようやく安らかな眠りにつくとができたのでした。
 

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